OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
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GAKU OSHIMA

大島 岳

40歳
研究職
東京都出身
ゲイ

#010 2016年10月撮影

「現在、陽性者のあいだにアンディテクタブル/[U]という新しいアイデンティティが生まれている」.
2014年国際エイズ会議で出会った陽性者からはじめて聞いたことだ. 意味は「ウィルスが検出できない状態や者」,つまり他の人に感染させることはほぼゼロ「検出されない=相手にうつさない/[U]=[U]」ってことだ.
かれは続けて,「だから,ぼくたちはもはや感染源ではない.むしろ先進国における現在の流行は,検査を受けず自分が陰性か陽性か知らない人たちのあいだで生じている」という.
この瞬間,「自分は他の人にうつしてしまう存在だ」とセックスのたびにつきまとってきた恐怖がはじめて軽くなったこと,それを今でも覚えている.
だから,少し勇気を出して,あるアプリのプロフに「165:87:38(当時)[U]」と書いてみた.わかる人はわかるという意味で,賭けを伴う「カミングアウト」ではなく「示唆」という戦略.それ以来,「ポジなんですか?自分もです.」っていうメッセージがきて仲良くなった人もいるし,急に疎遠になった人もいる.
正直に吐露すると,陰口ばかり叩くクソのようなやつもいた.でも,それを機に自然に遠ざかっていってくれて良かったって思う.全く反対に,陽性陰性問わず友達や愛する人と出会い,一緒にいてくれることに心から感謝できるようになったこと,こちらのほうを自分の得た中で大事にしてゆきたい.
この成功体験を手がかりに,ひとりの当事者として,そしてひとりの社会学研究者として,スピーカー活動と調査実践を行うようになった.今本当にカミングアウトしたいことは,そこで出会い本音で話せる関係を得たかれらへの「ありがとう」という言葉だ.
表面をとり繕わなければ生きづらい社会よりも,裸の自分を正直に出せて本音を言い合える関係や社会の方が生きやすいと思う.自分にとって,カミングアウトとは自分と相手との「裸のつながりがやってきた/came out」ことだった.着飾ってないだけお洒落でもシャイニーでもないけど,脱いだらセクシーじゃん,って言われたら素敵かなって思う.