
SHINICHIRO MASAMURA
正村 真一朗
18歳 |
大学生 |
北海道出身 |
バイセクシュアル |
#017 2019年4月撮影
カミングアウトすることは物凄く怖い。理解されないことが怖いのか、いままで隠してきたことをばらすのが怖いのか。全員には理解されないだなんてわかっている。別に恥ずかしいことじゃないってのもわかっている。でも、怖い。
大学に来てから何度かその機会があった。でも、その場にいた人がセクシュアルマイノリティだとわかった上で「俺もなんだ……」と告げるのが精一杯だった。さらっと「私バイセクシュアルなんです」と言える人を見るとただただ尊敬してしまう。僕には未だできないから。
この撮影会も、誘われたから参加できたのであって、自分ひとりでは怖くて行けなかっただろう。そしていまも、知らせる気のない人にまで知られるんじゃないかと、正直怖い。
だけれど、カミングアウトすることは怖いってだけでもなかった。思っていた以上にたくさんのセクシュアルマイノリティの人と出会えた。「えっ、そうなの!?」と驚くこともあった。
周囲にこんなにもいるだなんて、考えてもみなかった。日頃「身のまわりにたくさんいるんだよ」と思ってはいたけれど、本当にいるんだと驚き、ホッとした。結局何人も知り合いにバイセクシュアルがいるとわかった。あるバイセクシュアルの人が「だいたい異性を好きになるんだけど、たまに同性も好きになる」と言っていて「同じだ!」と感動した、なんてこともある。
怖いだけじゃなかった。カミングアウトを強要する気はないけれど、見ることのなかった世界が広がったのは確かだ。
万人が様々なセクシュアリティーを理解する、というのはある種綺麗事で、現実には難しいところがあると僕は思う。だけど、積極的に動くことで、一人でも多くの人に理解してもらうのはできると思いたい。――クサい言い方だけれど。