SATOSHI NIIYAMA
新山 賢
40歳 |
自営業/NPO代表 |
愛媛県出身 |
ゲイ |
#013 2017年12月撮影
ゲイデビューしてすぐの頃、出会い系サイトで知り合った人にはじめて地元のゲイバーに連れて行ってもらいました。はじめてで緊張しながらもそれなりに楽しんだのに、帰宅してついさっきもらったばかりのママの名刺をできるだけ小さく粉々になるように破いて捨てていました。
同居している家族に名刺を見られちゃダメだと思ったし、もう二度とゲイバーへ足を運んじゃダメだと思いました。
その頃の僕は自分自身のセクシュアリティを認めることが難しかったし、女性と結婚して子どもを授かってまあ平凡な家庭を築く…なんてフツー(?)な人生をイメージしていた僕はもう一度ゲイバーに足を運ぶとそんな人生に戻れなくなるかもと怖かったんだと思います。
いま振り返ってみるとちょっと過剰で極端な行動だったなと思います(笑)。いま
では顔と顔を合わせ友人や恋人と知り合うことのできるゲイバーは、僕にとってとても大切な場です。
ここ10年ほどはゲイコミュニティの中と外でさまざまな人たちの協力を得ながらHIV予
防啓発の活動を続けています。活動をしているといろいろな人たちと出会いますし、講師として招いていただいた先で初対面の人へ必然的にカミングアウトすることにもなります。
こういった場でのカミングアウトは、活動に「顔」をつけるためや「協働」や「理解」
を得るために必要なことだと思いおそるおそる探り探り続けてきたことです。でも「顔」
を出すことによって僕たちにとって暮らしやすい環境が少しずつですができてきているように感じています。大都市と地方ではセクシュアルマイノリティへの理解や風当たりには大きな開きがまだまだあるかもしれません。
この「OUT IN JAPAN」などのプロジェクトやみんなの小さな一歩が、それぞれの違いを認め合える多様で豊かな社会になることを願っています。