ai ayah
アーヤ 藍
25歳 |
会社員 |
長野県 |
クエスチョニング |
#005 2015年11月撮影
「性」というものに対して、人一倍臆病に育ってきたと思う。
親の厳しい教育のせいか、ボーイッシュに育てられたためか、過去に軟禁状態に遭ったことがあるためか…実際の理由は分からない。
でも「性」に触れることへの抵抗感や嫌悪感は、自分でも気づかぬうちに大きくなっていた。
異性の人と付き合うなかで、それが意識化され、相手との関係性にもヒビをつくった。
でも「性」に関することを口にするのは、私にはハードルが高すぎた。自分と似た悩みも聞いたことがなくて、「自分の感覚はきっと変にちがいない」と悶々とした。
そんな時に出会ったのが「LGBT」の世界。
勇気を出してFTMの友人に初めて打ち明けたら
「誰にも言えなくて辛かったね。でもその感覚は間違ってもいないし、おかしくもないよ。」
と言ってくれた。はじめて自分の感情、自分の存在自体を、認めてもらえた気がした。
次に打ち明けたMTFの先輩からは
「L・G・B・Tだけじゃなくて、ノンセクシュアルやアセクシュアルもあるし、本当に多様なセクシュアリティがあるよ。」
と教えてもらった。
ずっと「自分はどのカテゴリーにも当てはまれない」と苦しんできたが、自分にもどこかに“居場所”があるように感じられた。
一人、また一人と、カミングアウトを重ねるごとに、打ち明ける恐怖心は減った。今では、自分のセクシュアリティを規定したくない、と「クエスチョニング」を胸を張って自称している。
「異性」のなかから「好きな人」を選ぶのではなく、好きになった人が好きになった人。その人がどんなセクシュアリティであろうとも構わない。「その人」だから好きなのだ。
そして相手にも同じように、「女性だから好き」なのではなくて「私」として好きになってほしい、と願っている。
そんな私の言葉に共鳴してくれる人たちが居るとき、「カミングアウト」してよかったと改めて感じている。