HAJIME SUZUKI
鈴木 はじめ
30歳 |
フリーランス |
神奈川県出身 |
FTX |
“カミングアウト”は、僕にとってはやや大仰な印象の言葉です。天気や朝食について話すように、なんでもなく話したい。
それでも自分がわざわざ”カミングアウト””をする場面や動機について考えてみると、「平穏に過ごしたい」という思いがありました。
人や世の中に隠し事をしながら日々を過ごすのは大変な労力が必要なので、そんな労力はなるべく減らしたいのです。
「セクシャルマイノリティなんて周りにいないから」と、酷い言葉や冗談を言う人がいます。
そんなとき僕は大抵びっくりして固まってしまい、「この人に打ち明けるのはよそう」と思います。そうするとその人の周りには、本当にいないことになります。
「いえいえ、ここにいますよ」と言えたら、今後の自分や、もしかしたら見知らぬ誰かも無用に傷付かずに済んだかも、と毎回悔しく思います。
だから僕は、固まらずに「ここにいますよ」と言えるタイミングを逃したくありません。
そうして作った僕の小さな平穏が、いつか誰かの平穏にもなることを願っています。