OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
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YOSHIHITO SHINZATO

新里 善仁

43歳
会社員
沖縄県出身
ゲイ

#019 2019年8月撮影

僕のカミングアウトは成人式の日の夜でした。
成人式のお祝いで、家族と外食をした帰りの車の中での会話がきっかけでした。

沖縄では長男が家を継ぐと言う考え方や慣わしがあります。
僕が長男である事から、車を運転する父親から「成人になったし…」と僕の将来計画を含め、結婚と家族・子供の話になりました。
軽く流せばよかったのですが、自分のセクシャリティに対して悩んでいた自分は、黙りこんでしまい、家に着いた後も父親に家の外に呼び出され、   なぜ黙り込んだかと問い質されました。

子供の頃から父方母方の祖父母や親戚など、本当にたくさんの人の愛情に支えられ育ててもらったと言う気持ちがあり、カミングアウトをする事で全ての人を裏切る事にならないか悩み、自分の中で葛藤していました。

黙り込んだ理由を言う前に「勘当されても、今までもこれからも変わらずに親や家族の事に感謝し愛している」と一言。
自分がゲイと言う事をカミングアウトしました。
その後、父は空を見上げたまま長い間沈黙「そうかっ…」と言った後に、僕と目を合わさずに家に入って行きました。
その日は眠れず、口にタオルを突っ込み、声が家族に聞こえないように泣いて明かしたのを覚えています。

その翌日から父との会話は、親子の会話ではなく、僕を一人の大人として会話をするようになり、僕の考えや発言・行動を真摯に受けてもらえるようになりました。

僕の友達には、カミングアウトが出来ない、長男として結婚し家族を持つゲイの友達も居ます。
人それぞれの環境や関係性があるので、全ての人がカミングアウトをする必要はないと思います。
この企画を見て頂き、狭い沖縄の中でもそれぞれの置かれた環境の中で、悩んでる人にも勇気を与えられたら嬉しいです。

僕が踏み出せなかった一歩を踏み出せた事で、誰かの一歩と慣れたら嬉しく思います。