私が写真家レスリー・キーに初めて会ったのは6年前。一般投票で選ばれた100人の女性を彼が撮影する、という企画だった。私は戸籍の性別を男性から女性に変えて生きるトランスジェンダーであることをカミングアウトして挑戦した。それは私にとって、女性として生きられるようになった「今」だけでなく、「過去」の自分も受け入れて生きていくと決めた最初のきっかけだった。もし、私がカミングアウトをして何の障害もなく100人の女性に選ばれることが出来たら、自分だけではなく他のトランスジェンダーたちにもポジティブな影響を与えられると思った。
100人に選ばれることは想像以上に大変なことだったが、それまでの人生で私が出会ってきた人たちも私の思いに賛同して熱心に応援してくれた。
作品だけでなく生き方に共感していた写真家レスリー・キーと共に撮影した時間は、ずっと忘れない夢の様な時間だった。その時に生まれた一枚の写真は、沢山の人たちの思いが詰まった私の人生の集大成で、ポジティブなパワーを与え続けた。
それから6年が経ち、私が活動している香川のLGBTサポートグループに“OUT IN JAPAN”から偶然オファーがあった時には運命を感じた。
「あの感動をみんなにも味わってもらえる。しかも、この香川で！」
私は“OUT IN JAPAN SETOUCHI”の代表を務めることになり、集めるLGBTモデルの目標人数はあの時と同じ100人！最終的に57人の参加になったものの、堂々と撮影される幸せそうな姿に感動の連続だった。
私の新たな写真も生まれた。レスリーは6年前と全く同じポーズで今の私を撮った。
「大人になったね。」
と、彼が言った。“OUT IN JAPAN SETOUCHI”が私をまた成長させてくれた。
57人の本当の「自分」がここにある。「勇気」を出して行動すれば、日本のどこにいても「自分」でいられる。それを信じてこれからも生きて欲しい。