OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
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TASUKU ABE

安倍 佑透

34歳
アルバイト
香川県出身
FTM

#016 2018年10月撮影

僕の身長は139cm。

小学生のうちに身長は止まって、体は「子ども」から「女性」に変化していた。同級生たちがどんどん成長していく中、独り取り残されたような気がして、女性でも小さすぎる体は、僕に大人にはなれない・大人になっても価値はない、と思い込ませるのに十分だった。
自分の意識が、どうも女性ではないらしいことには、割と早くから気づいていたものの、性別云々の前に自分の小さな体を肯定することができず、僕は、性別のことにはフタをして生きてきました。
ある日、雑誌を見て出会ったロリータファッション。
10cmを超える厚底靴を履いてもなお、「みんなより」小さい僕は「かわいい、似合う」と褒められて、初めて低身長を肯定することができた気がした。
フリルやレースはかわいくて、「似合う」と褒められて嬉しかったし、「見た目は小さくてかわいい女の子、でもちょっとガサツで乱暴」な、「彼女」。
「彼女」を演じていれば、このまま性別のことはやり過ごして生きていけると思っていたのに、僕の体の「女性」の部分が悲鳴をあげた。
…追い込まれた僕は、ようやく自分の性自認と向き合うことになり、案外あっさり、それを肯定する僕がいた。
小さい身長は、僕にとっては根深いコンプレックス。
僕が女性ではなく男性であるなら、なおさら。
小さい身長で傷つくことは、スカートを履いて過ごしていた頃より、男性的な服装で過ごす今のほうが多いです。
それでも、僕は僕として生きていく。
僕のカミングアウトは、僕が僕自身に「男性の僕で生きること」を肯定するのが、いちばん大変でした。
今も、自分の小さい体を肯定することはできないけど、胸を張って生きていける。
これからも、何度でも、傷つきながら。

カミングアウトが、必ずしも輝けるための一歩とは限りません。
その先に今まで以上の困難があることも。
それを知ってなお、踏み出した一歩が無駄であるはずはないと、信じています。