TAKAYORI TANI
谷 昂頼
32歳 |
会社員 |
香川県出身 |
FTM |
#016 2018年10月撮影
生まれた時の名前は『美貴子』でした。
美しく、貴い子にという願いを受けて女の子として、3歳年上の姉と同じように姉のおさがりの女の子の洋服を着せられていました。
自我が芽生えだした幼少期から、母の選ぶかわいらしいスカート、フリルのついたシャツが大嫌いで、小学校入学前、男の子の制服を買ってもらえない理由が分からなかった。
何度も、父と言い争い、何度も母は涙を流し、どうして普通に生んでくれなかったのだと何度も苦しみを親のせいにしました。
今となっては、理解まではいかなくとも、何事もなかったかのように接してくれるようになった両親。でも、未だに父方の祖父母には黙っていろというルール。
父は、僕の戸籍上の性別が変わったことを祖父母にカミングアウトをしたら、祖父母が自殺すると言う。
僕は日本一ちいさな県で、小さくLGBTに対する啓発活動を行っている。
たくさんの人にカミングアウトしても、たった二人の祖父母にカミングアウトできていません。きっと、僕がしようと思ったら出来るんだと思います。
生んでくれた両親でさえ理解してもらえない事を背負って僕らは生きている。
家族のように、大切な人を想うと出来ない事もある。
カミングアウトがすべてではないけれど、カミングアウトすることは誰かを信じる事。
そして、自分を信じること。
カミングアウトをしなければ、僕は僕にはなれませんでした。
そして、僕はひとりぼっちでした。
きっと絶望もする。でも、絶望しても僕は自分を大事と思い続けています。
友達も、パートナーも、家族も信じています。
誰かを信じ続けることを僕はあきらめない。
きっと、大丈夫。