Miro Daikokudo
大黒堂 ミロ
49歳 |
漫画家 |
大阪府出身 |
ゲイ |
#006 2015年12月撮影
昭和から平成へと
変わってからしばらくして、まだサラリーマンだった自分がゲイ雑誌『薔薇族』にて漫画家デビューしました。
ゲイ雑誌の読者欄や編集後記などでは「ゲイにとって偽装結婚が幸せかどうか」などがまだ当たり前に語られてた時代です。
HIV/エイズの社会的パニックがまだ収まらぬ当時、カミングアウトとは海外の遠い話題だったのを思い出します。
かくいう自分も実社会では社内の昇格がそろそろと言う時期に『結婚するのが当たり前』の雰囲気に圧されていたのが現実でした。
LGBTを含む様々マイノリティの活き活きとした実話を取材しては雑誌連載に描いていた事もあり、
自分の中のギャップが
拡がるのがどうしようもなくなって、そして最終的には堂々と社内でカミングアウトする事なく退社しました。
その後は大阪で店を始め、今までの取材でつながったLGBTはもちろんSMやスワッピングマニア、そして心身の障害を持つセクシュアルマイノリティの方、
後には路上生活者もクシャクシャのお金を握りしめて集まる
ような、日本でも数少ないカオスな場所になって行きました。
15年後に閉店するまでには、両親を連れて来店しカミングアウトするようになったお客様、お客様の両親が御礼に来店、
違うセクシュアリティ同士で結婚・出産…とお客様から逆にいろいろ学びました。
最終的には会社員時代の同僚がお客様の個性を尊重する常連になるなど、カミングアウトの重要性を後から実感した次第です。
店での経験は
様々な生き辛さを跳ね返す様々なマイノリティを映したドキュメンタリー映画『凍蝶圖鑑』の企画へとつながり、
国内外での上映を通じてまだ会ったことのない方の勇気になったとの感想も頂くようになりました。
そして今、次の世代の未成年LGBTなどの人たちも自分らしさを解放出来る場所として喫茶店を現在準備中です。
すっかり親子ほど離れた若い世代の人たちの勇気になれるかどうかは分かりません。
今後、自分の行動が彼ら彼女らのカミングアウトの一助になれば幸いです。