OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
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HARU YUKI

結城 陽

30歳
会社員
神奈川県出身
FTM

#008 2016年3月撮影

GIDやFTMの存在を知ったのは、中学生の頃。

でも、生まれた時から自分の体に違和感があったわけではないし、

好きになるのは女の子ばかりだったけど、それも一時的なもので、

いつかは自分も男性を好きになって結婚して子供を産むんだろう、

と思っていました。

だから、自分は「そう」じゃない、と。

きっとどこかで自分自身を認めるのが怖くて、

否定していたんだと思います。

友達と好きな人の話題になっても、

適当な男子の名前を挙げて誤魔化して、

誰にも本当のことが打ち明けられませんでした。

髪を伸ばしたり、化粧をしたり、

スカートを履いたりして、

女子として頑張ろうとしていた時期もありました。

こんな自分は異常だと思って

死のうとしたこともありました。

でも、大学で初めて自分と同じような友達に出会い、

ネットの普及も手伝って、自分と同じような仲間がたくさんいるのを知ったとき、

初めて、自分で自分を認められるようになりました。

自分のしたい恰好をして、

好きな人に好きだと伝えていいんだと、

やっと気づきました。

そこから自分が生きる世界が拓けたような気がしました。

友達にもカミングアウトをしはじめました。

嫌悪感を持たれるんじゃないかと不安もありましたが、

むしろ話してくれてありがとう、と言ってくれる人ばかりでした。

母親へのカミングアウトは、

最後の親孝行だと思って振袖を着て、

成人式を終えた後でした。

一番大事な存在だからこそ一番言えなかった。

「自分の育て方が悪かった」と号泣した母。

そこから溝が埋まるまでには10年かかりましたが、

今は昔以上に何でも話せる良い関係が築けています。

カミングアウトはとても勇気がいること。

でも、その先にはきっと今とは違う世界が拓けるはず。