Masataka Masaki
真木 柾鷹
49歳 |
支援員/性と人権ネットワークESTO代表 |
秋田県出身 |
FTM / ゲイ |
#008 2016年3月撮影
初めてのカミングアウトの結果は、完全な拒絶だった。
自分の名前は“MASATAKA”だと伝えた日から、泥沼はいっそう深みを増した。その前もその後も“自分”の名前を伝えられる人は誰もいなかった。
外見だけが“女”の自分を、家族は化け物だと嘲笑った。
綺麗にラッピングしてみても分かる人には“自分”が見えて、ラッピングを外して見せても分からない人には“自分”が見えることはなかった。
偶然に見ていたニュースで性同一性障害の公式な治療が始まったことを知って、トランスジェンダーとして生きることを選んだ。
PMS(月経前緊張症)の悪化で動かなくなってきた身体を理由にして、誰の目にも“自分”が見えるようにするために男性ホルモン剤の投与を希望した。
男として生きることで、自分はゲイなんだと気づいた。
過去の片想いが上手くいかなかった理由を知ることで、本当の人生が始まった気がした。
東北で生きることは厳しいけれど、東北でしか得られない素晴らしいものがたくさんある。
ESTOを発足させて「秋田にもセクシュアル・マイノリティがいます」と言い続けて、たくさんの当事者とアライの人達と家族に支えられて、数えきれないカミングアウトを重ねてきて…。
でも、自分一人の責任だけでは引き受けられない事もあって、OUT IN JAPANの参加でカミングアウトできたのは半分の自分だけ。
残りの半分は、まだクローゼットの中に入っている。
「カミングアウトとは、繰り返し伝え続けること」
OUT IN JAPANに出会うことで“あなた”のカミングアウトがスタートしたら、「これが本当の自分」と言える自分で生きていってほしい。
「分かってくれる人なんて誰もいない」と思っている“あなた”に、「独りじゃない」というメッセージが届きますように。