Michiko Matsuhashi
松橋 道子
40歳 |
俳優 |
茨城県出身 |
FTM |
#008 2016年3月撮影
勇気を持ってカミングアウトすることによって、あなたは
嬉しくなるかもしれない。
がっかりするかもしれない。
悲しくなるかもしれない。
祝福されるかもしれない。
全部、「かもしれない」こと。
なぜなら、人のリアクションは、その時になるまで知りようがないことだから。
相手が、あなたにとって重要な人であればあるほど、そのリアクションで一喜一憂する振れ幅は、きっと大きいと思います。
相手が好きな人たちだったらなおさら、彼らのポジティブなリアクションに期待するでしょう。
不安は、起きていないことに対して湧き上がってきます。
こうなったらどうなるだろう、ああなったら嫌だな、などなど。
期待は、相手をコントロールしたいという欲望から発生します。
こうあってほしい、ああいう行動をしてほしい、などなど。
不安と期待、どちらもネガティヴ感情の仲間なのですね。
カミングアウトというポジティヴな行動をする時は、ネガティヴ感情を捨てましょう。
わたしは大好きな叔母に「そんな話、この楽しい席ですることじゃないでしょう」とあしらわれて、悲しくなりました。
叔母は、その後わたしにメンズのスーツを買ってくれました。
大好きな先輩俳優には「良かったじゃない!あなたは今までバラが好きだったけれど、チューリップが好きだと気づけたんだよ」と祝福されて、涙を流しました。
家族には精神病院に連れていかれたこともありました。
今年はTokyo Pride Paradeで一緒に歩きます。
カミングアウトは、勇気が必要なアクションです。
発信する人、受け取る人、それぞれに人生のタイミングがあります。
もし、これからカミングアウトしようと考えているなら、どうか覚えておいてください。
あなたはひとりではないということを。
あなたが変わってきたように、人間は変わっていきます。
あなたがそうだったように、人間は、いつもあなたの思い通りには動きません。
ただ、それだけのこと。
カミングアウトするあなたがなすべきことはきっと、これまでよりもずっとエネルギーを使って、あなたが何が好きで、何をしたくて、何を望むか、あなた自身に寄り添って聞き続けることです。
自分の声を、これ以上優しくなれないほど自分に優しく聞くことです。
そして、自分と共に生きていくことです。
だいじょうぶ、ひとりじゃないですから。
わたしだって、ここに居るのです。
うっかり死んだりしてはいけません。
いつかわたしとお茶を飲んでください。