Takahisa Tanabe
田辺 貴久
34歳 |
編集者 |
千葉県出身 |
ゲイ |
#008 2016年3月撮影
初めて自分がゲイだということを人に伝えたのは18歳のとき。相手は家族だった。大学に入った頃に、初めて自分以外のLGBTと顔をあわせて話をして、ゲイであることは悪いことじゃないと思えるようになった。ならば親にはちゃんと話をしないと、と、カミングアウトを決めた。
もし否定されたら出ていこうと、覚悟をしてのカミングアウトだった。夕食の準備をしている母親に、前触れもなく「あのさ、実は僕は男の人を好きになるタイプの人間というか、つまり、世に言うゲイなんだよね」というようなことを、心臓をばくばくさせながら言った。
母親はびっくりしていたけれど、話を聞いてくれて、その夜には父親にも話をした。ふたりとも否定をすることなく「なんであれお前の味方だよ」と、受け入れてくれた。
自分にとってゲイであることは、バレたら人生が終わる、くらいの大きな秘密だった。自分が世間からみて「気持ち悪い人間」だと思われるのが本当に嫌だった。だからひた隠してきた。
けれど、親にカミングアウトをして気づいたのは、本当は隠したかったんじゃなくて、受け入れて欲しかったんだということ。恥ずかしいと自分で思っていることならば、隠していたものを見せるのはやっぱり恥ずかしい。だけど、カミングアウトをしたあと抱いたのは、ホッとした気持ちだった。
僕にとってカミングアウトは、自分がゲイだということを、知っておいて欲しい、受け入れて欲しい相手にするもの。だからこそ、否定されることを想像するとやっぱり怖気づいてしまう。でも、自分がそう思える相手のことだから、きっと自分を受け入れてくれる。
そして、その通りになっていることに、自分のまわりの人々に感謝しています。