「アンタは男なんだから」

ギリリと腕をつねりながら、憎悪をぶつけるおばあちゃんに、何も答えてあげられなかった幼少期。
赤く痛む腕を眺めながら「男なんだから、男なんだから」と頭の中で繰り返した。

それから長いこと、違和感を抱えて過ごした。

時間が過ぎて、おばあちゃんの背中は小さくなった。

年を取り、つねることもなくなったおばあちゃん。
ポツリ、ポツリと漏らすその言葉の端々に、私に対する幸せへの祈りを感じた。

祈りが呪いになっていたこと。
正しいという思い込みが、ここまで祈りを歪めるのかと思うとひどく落ち込んだ。

でもこれからは、幸せになれる方法が見つかりそうだよ、と。
それを伝えるためにカミングアウトをしようと思った。

今、周りには自分を受け入れてくれる人がたくさんいる。
そんな環境を見て、安心してくれる人が増えていったら嬉しいな。

それで、いろんな可能性が増えたら最高だと思う。
そのために、まず自分から動いてみたら何かが変わるかも。