Niki Sakai
酒井 二樹
19歳 |
大学生 |
東京都出身 |
バイセクシュアル |
#002 2015年8月撮影
僕が自分のセクシャリティについて考え始めたのは、高校3年生の冬です。きっかけは、仲良しだった男友達からの告白でした。
その友達のことは好きだったけど、恋愛感情では見ることができなかったので、付き合うことはありませんでした。けれども、その時初めて、僕は自分がバイセクシャルだということを自覚したのです。
確かに、振り返ってみれば中学の頃僕が好きだった人は、同じクラスの男の子でした。当時の僕は、女の子から好かれたいという気持ちもありましたが、その男の子を好きな気持ちはそれとは違い、特別なものでした。今思えば、それが僕の初恋でした。
ただ、その時の僕は自分でその気持ちを受け入れることができませんでした。周りと違う自分に気づいて、とてつもなく怖くなったのです。自分が嫌いになりました。自分を否定し続けました。男らしくなりたい、と思うようになり、自分を偽ってでも変わろうと努力しました。
高校に入ってから、恋愛対象を女の子に向けるように意識しました。普通の男の子になりたかったのです。そんな中、僕はひとりの女の子に恋をしました。もともと友達として仲良かったのですが、その気持ちは徐々に特別なものに変わっていきました。そして、ついに彼女に好きだと告白しました。しかし、「僕と付き合ってほしい」という言葉だけが、どうしても言えなかったのです。なぜかは分かりません。自分に自信が無かったのかもしれません。その恋はそのまま終わりました。男友達から告白され自分の性について認識したのも、この時期でした。
振り返ると、僕は今まで男の子や女の子を好きになってきたけど、そこには確かな事がひとつだけあります。それは、愛に性別なんて関係ないということです。人を性別なんかで判断したくない。判断されたくない。1人の人間として自分を見てほしいし、人間としてその人が好きかどうか、ただそれだけなんだと思います。
自分が嫌いになったり不安になった時には、音楽を聴いて心を落ち着かせました。
「わたしは変わることなんてできない。たとえ変わろうと思ったって。たとえ変わりたいと願ったって。これが私の愛の形。自分らしく生きればいい」
Macklemore & Ryan Lewis
「君がゲイならそれでいいし、君がストレートならそれもいい。その中間にいるんだったら、それって最高!たくさんの選択肢があるんだ」
A Great Big World
「自分を受け入れて、愛してあげよう。それがあなたなんだから」
Lady Gaga
このような曲にも励まされ、僕は自分に自信が持てるようになりました。自分を偽ることなく、自分らしく生きたいと思うようになりました。
そして、大学1年生の終わり、ついに親にカミングアウトしました。少し心配はしていましたが、「私は養子でもいいのよ」と言ってくれました。信頼できる友達にもカミングアウトするようになりました。みんな受け入れてくれて、以前と変わらず接してくれます。本当に感謝しています。
大切なのは、カミングアウトするかしないかじゃない。自分を受け入れて、正直に生きること。