OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
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Namie Aromu

アロム 奈美江

33歳
新宿二丁目 ArcH,AiSOTOPE LOUNGE系列プレス
沖縄県出身
MTF

#002 2015年8月撮影

私にとって、「カミングアウト」とは、他人とコミュニケーションをとるにあたって「先手必勝の必殺技」であり、「護身術」だ。

セクシュアリティだけに限った事ではないが、他人からツッコまれたり、からわれそうな自分の性質は、自ら先に腹を割って曝け出す。自虐的かつ堂々と、ね。

そうする事で多くの人達が、私という人間を安心して面白がってくれて、信用してくれるようになった。そして、自分の性質の事で傷つく事も少なくなった。

かつては、自分のすべてがコンプレックスで、常に「フツウの人」でいようと背伸びしていた頃もあるけれど、当時は本当に日々精神的に疲れていた。「フツウ」なんて得体の知れない基準に合わせようと頑張っていたのだから、そりゃ疲れるに決まっているし、今思えば滑稽だ。

「私って、こんなセクシュアリティなんです。さらに、こんなダメなところがあるんです。うふふ♥」

と自分で自分の「フツウ」ではない部分を笑えてしまう視点やセンスを持てた時、私は自分の事を昔より許せるようになったし、周囲の人達も温かくてゆるい目で私を見守ってくれるようになったと実感している。

ただ、私が「カミングアウト」する内容は、流動的な場合がある(嘘をつくという意味ではなくて)。

現に私は、自分の事を「ゲイだ」と名乗っていた時期もあるし、今は「女装」とか「ニューハーフ」、「MTF」等とケースバイケースで使い分けている。

それは、私がいろんな方向性に揺らいでいるせいでもあるし、そんな私を当てはめるのに100%充分なカテゴリー名が見つからないせいでもある。

けど、そもそも人のセクシュアリティやアイデンティティは、経験や環境等、いろんな要因で揺らぐものだと思う。そして、揺らいでもいいものだと思う。

私は、自分が何者であるかを、その時に自分が信じたように決定する。

貴方も、自分が好きなように自分の事を名乗ればいいんじゃない?