Subaru Yamashita
山下 昴
24歳 |
NPO法人ReBit理事 |
大阪府出身 |
ゲイ |
#002 2015年8月撮影
「今、昴にかけれる言葉は何もないわ」。
今でも心に残っている、僕が初めて心救われたカミングアウト。
同性が好きとハッキリ自覚したのは、6年前の大学1年生のとき。
自身の性的指向に遅く気づいた当時の僕は、「今まで大切と思ってきた友達たちにも嘘をついてたことになるんかな」と毎日自分を責めた。
しかし、LGBTの知り合いなど誰一人おらず、心の内を誰にも話せないまま迎えた大学2年生の冬。
とうとう一人で抱えこむのが苦しくなり、一人の友人にカミングアウトをした。
体をガクガク震わせながら、心臓をバクバク鳴らしながら、汗をタラタラかきながら、僕は彼に「オレは女性を好きにならない」と伝えた。
彼は「今、昴にかけれる言葉は何もないわ」と。
僕はそれがとても嬉しかった。
「やって、LGBTって言葉も初めて聞いたし、昴がそうやってのも初めて知ったし、『気にすんなよ!』とか下手に言われへんわ」
と続かせてくれたから。
他の男友達からは「僕のことは好きにならないでね」と言われたことを伝えると、「昴の気持ちに応えれるかはわからんけど、俺のことやったら好きになっていいからな」と。
異性愛者の彼のこの言葉にどれだけ救われただろう。
今、僕は素敵な友人と仲間に囲まれて暮らしている。
LGBTの人もいれば、そうじゃない人もいる。
もしこんな環境が子どもの頃からあったら、大学生のとき、自分を責めなかったかもしれない。
高校生のとき、女性が好きだと思いこまなかったかもしれない。
中学生のとき、変なやつとレッテルを貼られていじめに遭わなかったかもしれない。
小学生のとき、もっと自分らしく生きられていたかもしれない。
今の、そしてこれからの子どもたちにそんな思いはさせたくない。
「カミングアウト」する必要のない、そんな世界に向けて、今僕は、僕にできることをしたいと思う。
大切な仲間たちと一緒に。