OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
main-image

Toshitsune Tamashiro

玉城 利常

54歳
自営業(ゲイバー経営)
沖縄県出身
ゲイ

#002 2015年8月撮影

「私は高校を卒業して直ぐに故郷沖縄を離れ、仲の良かった故郷の友人達とは、自分がゲイである事を伏せて会う事が辛く、34年ほど疎遠になっていました。

ひょんな事で、一昨年クラスメートから「皆が会いたがってるから、今度帰省する時に会おう」との連絡が来ました。私も同じ気持ちでいました。ただ、皆に会う時は34年間音信不通にしていた理由を話さなくてはならない、つまりカミングアウトをする事になる…

連絡を貰った時に「Sが、ガンなんだよ..」という事も伝えられました。Sは実家も近く小中高と同じ学校に通い仲の良かった友人です。

「Sに会っておかなくては」という思いの強さから、昨年、帰省の際に連絡を取り、当時のクラスメート達との34年ぶりの飲み会となりました。

その席で「俺はゲイで、それを伏せて皆に会う事が辛く疎遠になってしまった。今は東京で自分の店を持ち、長く連れ添うパートナーがいて、沢山に人に囲まれ幸せにしている」と皆に告白をしました。

するとSが「お前が何であれ関係無い、俺たちは同級生なんだし、友達なんだから」と一言。他の友人達も「そうだよ」と言ってくれました。

涙が溢れる思いでした。長年の辛い思いが流れ去る瞬間でした。昔話に花が咲き、二丁目とは?ゲイとは?との質問攻めにもあい、長い時間が埋まるかのような、素晴らしい時を過ごしました。

しかし、再会から2ヶ月後Sは闘病の甲斐なく54年の生涯を閉じました。訃報を受け、葬儀に駆けつけ、クラスメート達と葬儀を手伝い、Sに「お前の言葉に勇気を貰って、真っ直ぐ精一杯生きる事を教えられた。ありがとう。俺たちは同級生だし、ずーと友達だよな」と伝えてきました。

今では故郷の同級生たちとは時々連絡を取り合い、上京の際は店に遊びに来る友人もいます。」