Keisuke Sakurai
桜井 啓介
43歳 |
会社員 |
東京都 |
バイセクシュアル |
#004 2015年11月撮影
家族の中では、どちらかというと、話を聞く側でした。
僕自身も伝えたほうがいいかなと思ったことはあったのですが、僕が伝えるより前に向こうの伝えたいことを聞いてしまう、そんな感じの家庭でした。家族内の関係性のこと、家業の食堂のこと、病気のこと、家計のこと・・・・結局両親はカミングアウトすることなく亡くなってしまい、兄が継いだ食堂は震災後の節電のあおりで近くの工場や施設から人が来なくなり閉店。バラバラに暮らす今はお互い会うこともほとんどなくなって、結局血縁者には誰一人まだカミングアウトできていません。
一方で、HIVの陽性者スピーカーとして大学などで話をするようになってからは、初対面の人にいきなりカミングアウトする機会は増えました。職場の上司も面接のときから話をしています。ただそうした場に共通していることは、自分自身のストーリーの一部としてセクシュアリティや病気の話ができる場だということです。
陽性者としてもバイセクシュアルとしても僕は一例にしか過ぎないので、結局自分の話しかできない。でもそのことに気がついて、同じ属性のマイノリティーでもいろいろな人がいることは踏まえつつ、「自分」を知ってもらうための話ができるようになったかなと感じています。
病気もセクシュアリティも単語としてインパクトはあるかもしれないけれど、それはあくまでも相手の一部として、そのほかの要素と合わせながらお互いの理解を深める、そんな環境が広がっていけばいいなぁと思いますし、「OUT IN JAPAN」を通して集まったたくさんのメッセージがその広がりを後押しすることを願っています。
そして、もし僕の家族や親戚がこのメッセージを見ることがあったら、それはたぶん、このプロジェクトに関心を持てる程度には気持ちの余裕ができたときじゃないかと思うので、そのときは僕に少しだけ話をする時間をくれたら嬉しいですね。