Risako Goda
合田 理佐子
22歳 |
大学生 |
東京都 |
FTM |
#004 2015年11月撮影
「一度言ったらもう引き返せないかもしれない」
こんな思いが私を引き止めていました。
「20 年間かけて築き上げた親子関係や友人関係を壊すことになるかもしれない」
ひたすら恐怖でした。
自分が自分を押し殺して生きれば、このままみんなは私に笑いかけ続けてくれるのかと思うと、私の中からカミングアウトするなんて選択肢は自然に消えていました。
しかし、カミングアウトを終えた今となって感じることは「カミングアウトしてよかった」ということです。
周りとの関係や自分の将来に対する考え方が一気に変わりました。
ずっと誰にも言えずにいたこと、辛くても人前で泣いたら理由を聞かれても答えられないから一人で泣くしかなかったこと、受け入れられない自分の姿に苦しんだ日々を話せる「今」を手にいれることができたのは、泣きながらでも勇気を出して「カミングアウト」をしたからです。
「性同一性障害って知ってる?ぶっちゃけキモくない?あたし無理」
これは私が高校時代に同じグループの女の子から言われた言葉です。
泣きながら下校しました。
親に理由を聞かれたらどうしようという思いで目の腫れが引くのを待っていたら家に着くのは夜になったことを覚えています。
20 人に一人はセクシャルマイノリティーと言われています。自分の周りにはいないという方は、もしかしたらそれは「カミングアウトできていない人」がいるかもしれないということだと私は思います。
「合田ちゃん、世間はあなたが思ってる以上に温かくはないの、でもね、思ってる以上に冷たくもないのよ」
友人の母親は私にこう言い、その場で私は泣きながら感謝の言葉を返しました。
「恐怖」でしかなかったカミングアウト。今は自分と周りを繋ぐものの一つとなっています。
枠に囚われずに、一人一人の違いを「個性」として受けいれることのできる日本になるように祈っています。