Ryo Aoki
青木 亮
39歳 |
会社員 |
福島県 |
ゲイ |
#004 2015年11月撮影
自分が同性愛者なのではと感じたのは中学生という思春期真っ只中で、それと重なったためか、いじめにも遭った。進学した男子高でも自分が好奇の目に晒されていたことも分かっていた。ただ、それらも含めて自分が分からなくなってしまい、登校拒否になってしまった。
また、大人になるに連れて長男である自分には結婚や子どもとか求められる部分も出てきた。保守的な田舎町の出身であるので、とかく家のつながりを求められ、ことあることにそれらの話が出てくるたびに業を煮やしたのか、26のときに転職を口実に東京に出た。
実はこの頃、まともにカムアウトはできていない。ただ、自分の部屋にはゲイ雑誌も隠すことなく置いていたので、姉を経由して母に「あいつホモなんじゃないの?」というかたちで伝わっていたと思う。
今でこそ自分がゲイであることも母は分かってくれているようだが、未だに「自分の育て方が悪かったのかしら」と思い悩むことがあるという。強くならない自分を強くさせようとしてスポーツなどやらせたのだけど、どうも自分の願う方向とは正反対を行ってしまったらしく、今でも嘆かれることはある。ただ、昨今の事情も含め、姉を経由して学ぼうとはしているらしい。
苦しい思いはさせてしまうかもしれない。だけど、『誰かの願うように生きる』のではなくて、『自分を最後まで生き切る』のが人生。自分にはゲイであるほかにHIV+も発達障害も分かったけれど、それらがあって、それらを伝えて、ともに歩ける人たちやこんな自分でも理解してくれるストレートの人たちもいる。ずっといっしょにいたいとパレードをともに歩いた人もいる。
『自分に素直になる』ことで、『ずっとひとりだと思っていた』ことが、覆される。
今の世の中、アップデートのないまま虐げられる『俺様基準のふつう』という概念の強制や、あらゆるマイノリティに理解が少なくて歯痒い時間が続くけれど、自分は『見えるもの』になろうと思う。