今から9年ほど前の2006年、ＮＨＫ「ハートをつなごう」で『性同一性障害』が取り上げられることになった。

当時の僕は一般視聴者で、どこにもいけない心の内を番組宛にメールし、最初に読まれることになる。『死にたい』そう綴った。もう40歳になっていた。

それから2年後、たくさんの出会いと偶然の重なりで、僕は番組「ハートをつなごう」のスタッフの端っこにいることになる。

その目の前には、上川あやさん、尾辻かな子さん、砂川秀樹さん、石川大我くん、杉山文野くん、針間克己先生、平田俊明先生・・・

「完全にクローゼット」だったはずの僕は、そんな方たちに囲まれ、どんどん殻をはがされる事になる。

「殻をはがされた」のか「殻を脱いでいった」のか、それは自分でも定かではない。

「カミングアウト」した、というはっきりした記憶もない。

あるとしたら、ＮＨＫ「ハートをつなごう・LGBT BOOK」の中で、誌上カミングアウトしたことくらいだろうか。

40歳まで、足元の暗闇しか見てなかった。

いつもそこに、暗闇があって、

いつもそこに堕ちたいと思っていた。

今もその暗闇がなくなった訳じゃないけれど、

僕は今、少しだけ未来を見ようとしている。

出逢ってくれたみなさん、本当にありがとう！

今、ちょっとだけ「生きててよかった」って言えるようになりました。