Kaoruko Oishi
大石 薫子
30歳 |
会社員 |
静岡県出身 |
レズビアン |
#003 2015年10月撮影
高校三年の時、友人である女の子を好きになってしまった。なってしまったというのは、まるでいけないことのようだが、当時の私にとっては正にそのような心境だった。
恋愛という思春期の複雑な想いにプラスして対象が同性であることに、混乱した私は自分の気持ちを受け入れることができず、その友人とも距離を置いてしまった。
卒業式の前後いつだか忘れてしまったが、その子に「レズとかじゃないけど、好きだったよ」と言った。
今になって思えば自分がレズビアンだということはとても恐ろしくて恥ずかしいことで、まさか自分がそうだなんて思いたくなかったし、そう思われたくなかった。ただ、それでも想いは伝えたかった。
そんな思いをした反動と地元を離れた解放感から、大学生になると私はオープンになっていった。
思い起こしてみればそれは初めてカミングアウトした時の
「男でも、女でも好きなものは好きなんだよ」
という親友のシンプルな言葉のお陰だったのかもしれない。
家族へのカミングアウトには少し時間がかかった。
初めて母に話をしたときは、不安があったのと勢いで話をしてしまった為にうまく伝わらず、何となくスルーされたように感じてしまった。その後、失恋も重なり自分の将来に希望が持てず誰にも悩みを言えなくなり、気がつくと毎日自殺の方法ばかり考えていた。
二度目のカミングアウトにより母と姉の二人が私にとって素晴らしい理解者であり相談相手となってくれた。パートナーができたことをきっかけに父、弟、祖母にも打ち明けた。祖母までもが私たちの関係をよく理解してくれた。
私にとってカミングアウトは、まず自分を受け入れることだった。
そして今では自己表現であり、周りの皆からの愛を感じ絆を深めてくれるもの、そしてたくさんの魅力的でハートフルな人たちと出会わせてくれる素晴らしい贈り物だ。
勇気ある一歩を踏み出そうとしているあなたにもたくさんの贈り物がありますように。