Narumi Hino
日野 愛弓
23歳 |
会社員/臨床検査技師 |
大阪府出身 |
FTM |
#003 2015年10月撮影
僕にとって、カミングアウトとは人生の出発点です。
自分の気持ちにウソをつく事は、本当にしんどくて、息が詰まりそうになります。
僕は、幼い頃に自分で決めたルールに、とてもしんどい思いをしました。
“学生じゃなくなったら、男になる”
このルールを守る必要はなかったのかもしれません。
でも僕は、“幼い頃の自分に負けたくない“事と、“このぐらい我慢できなければ、この先もっと辛い事に負けてしまう“と思ったので、約15年間、自分と勝負し続ける道を選びました。
この勝手に決めた自分ルールに僕は勝利し、社会人になってから家族や友人にカミングアウトをし、治療に踏み出しました。
母は気づいていた様で、「これから、頑張りなさい」と落ち着いて声を掛けてくれました。
叔父からは「決して自分を責める事ではない」と言われ、今まで誰にも相談せず、自分の中で押し殺していた感情が一気に溢れました。
「僕は、僕のままおってよかったんやな…」と、自分の存在が許された様な気がしました。
僕の青春時代は、お世辞でも後悔がないとは、言えません。
その一時は楽しくても、どうしても“本来の自分とは違う“と言う後ろめたさ、家族や友人についているウソの罪悪感は消えません。
そんな後悔を、今を生きている人達、これから生まれてくる子供達にしてほしくありません。
人に生まれを選ぶ権利はありませんが、生き方を選ぶ権利はあります。
僕みたいに変に塞ぎ込まずに、もっと友人を信じてみて下さい。
もっと自分に素直になってみて下さい。
辛くて負けそうになったり、逃げ出したくなったら、思い出して下さい。
“あなたは一人じゃない”
急がなくていい、一歩ずつでいい、小さな声でいいから、話してみて下さい。
きっと、あなたが思うほど、世界は悪いモノじゃないはずです。
あなたの未来が良き方向に進む事を祈って、エールとさせて頂きます。