Rin Yamaguchi
山口 凜
33歳 |
公務員 |
奈良県出身 |
トランスジェンダー |
#003 2015年10月撮影
「あなたは何も悪くない、堂々と胸をはって生きればいい。」
当時、はじめてできた彼女の両親に交際を知られ、存在すべてを否定された中学生のぼくに、市の相談員さんがかけてくれた言葉です。
同じ他人でも理解してくれる人はいるんだ、という驚きとともに、自分は間違っていないと思わせてくれた忘れられないメッセージです。
トランスジェンダーとして生きていくうえで、ぼくにとってのカミングアウトは二段階ありました。
ひとつめは、身体的性別と性自認が一致していないこと、そして男として生きていきたいという思いを周囲に打ち明けるカミングアウトです。
家族や友達だけでなく、学校の先生、前述のような励ましや支えのおかげで、ひとつめの壁はそれほど高くありませんでした。
ふたつめのカミングアウトは、埋没している状態からセクシュアリティをオープンにすることです。
ぼくはこの壁を乗り越えるのに10年かかりました。
言わなければわからない、言う必要はないと思ってきたからです。
だけど、こんなふうに生まれてきた意味を考えたとき、自分にしかできないことがあるんじゃないかと思うようになりました。
そしてぼくは今、あのときの相談員さんと同じ仕事に就き、支援や啓発活動に取り組んでいます。
これまでぼくを支えてくれた人たちに、自分らしく堂々と胸をはって生きられるようになったことを伝えたいし、つらい日々を乗り越えてくれた過去の自分に恥じない生き方をこれからもしたいと思っています。
だから今度は、ぼくからあなたに向けたメッセージ。
「あなたは何も悪くない、堂々と胸をはって生きればいい!」
あなたの人生の主役はあなたしかいません。
あなたが生きたい人生を、自由に選択してください。
すべての人が「自分らしく」生きられる社会を、ぼくたちからはじめましょう!