Shiori Ueda
上田 紫織(ソルト/SALt.)
29歳 |
絵描き・イラストレーター |
京都府出身 |
FTX/パンセクシュアル |
#003 2015年10月撮影
耳が聴こえない聴覚障害者。声を出すことができない場面緘黙症。女性として扱われることへの違和感。この3つの悩みを抱えていました。
女として扱われることがたまらなく嫌で、男の身なりと言葉遣いをしていたけれど
「男性になる手術をしないの?」
この一言で、男になりたいわけではないのに、男のような振る舞いをしている自分にとても悩みました。
聴こえないことで悩む、声が出せないことで悩む、女性として生きることに悩む。
ありのままの自分を受け入れることができるまで19年。
「耳が聴こえません。場面緘黙症でした。女性でも男性でもない中性、エックスジェンダーとして生きています。」
そう自己紹介するようになって10年。
「聴こえない人に初めて会った」「LGBTの人に初めて会った」
どちらも同じくらい言われることに気付きました。聴覚障害も、LGBTも、目には見えない。言わない限り、気付いてもらえない。見えないだけで、すぐそばにいるのに。
だからこそ、気付いてもらうために、これからもカミングアウトしていく。障害をもったLGBTの人もいること。LGBTにもさまざまな人がいること。少数だと珍しがられるのではなく、多様と捉えてもらえるように。
世界は多様な色で彩られていて
私も、あなたも、多様な世界の一部です。
10年前まで、人と話すことも、人の目を見ることもできなかった私が、前を向いて、こう言えるようになったこと、家族はきっと、驚くでしょう。(実は、一番身近な家族へのカミングアウトだけはいまだにしていないのです。10年目。これを機会に、両親へも胸を張って言えるように一歩踏み出します。)