Mamoru Kubota
久保田 守
49歳 |
自営業 |
神奈川県出身 |
MTX |
#007 2016年2月撮影
私はこれまでずっとクローゼットとして生きてきました。
仕事をする上で、自分がセクシャルマイノリティであることは、デメリットでしかないと思い込んでいたからです。
私は人に自分のことをあまり話さなくなっただけではなく、同じセクシャルマイノリティの人との接触すら避けてきました。
そうすることでかえって、人との間に壁のようなものを作り出し、人との距離感を離していっていることに気付きまませんでした。
数年前に体を壊し、仕事を辞めた時、仕事でしかつながっていなかった人たちとの人間関係が一斉になくなり、気が付くと一人になっていました。
セクシャルマイノリティであることがばれないようにすることを徹底し過ぎたことが、プライベートでの付き合いそのものを希薄にしていたのです。
幼馴染や親友にさえ、カミングアウトしてこなかったことこの時初めて後悔しました。
心の内を相談できる相手が誰もいないからです。
このことをきっかけに、ようやく考え方も変わり、仕事を辞め、ひた隠しにする必要もなくなったことから、新たに出会う人には自分がセクシャルマイノリティであることを隠さないようになり、また同じセクシャルマイノリティの方とも積極的にお会いするようになりました。
カミングアウトを全否定し、結果として心を閉ざしていた私ですが、今はカミングアウトしたことで得られたことの方に感謝しています。
誰彼構わず、セクシャルマイノリティを公言している訳ではありませんが、かなり心が軽くなり、クローゼットでいた頃より、精神的に生き易くなりました。
そもそも、自己紹介の際に、何の気兼ねもなく、当たり前に自分のセクシャリティのことを話せるようになる、そんな差別のない社会になればいいな、と思っています。
最後に、このプロジェクトに参加できたこと、とても感謝しています。
これで更に、堂々と胸を張って生きていけそうな気がしています。
いつか、誰かにカミングアウトをする時が訪れるなら、その時をおびえて待つよりも、自分からその時を作り出す勇気を持てるよう、応援します。