Yuta Haba
幅 裕太
35歳 |
家業手伝い |
福岡県出身 |
ゲイ |
#007 2016年2月撮影
この撮影会が行われる3か月前、私はカミングアウトについてある試験的な行動をとっ
た。
当時私は市の文化振興事業団が主催する演劇講座を受講していて、成果発表会をするこ
とになった。
発表会は受講生一人一人が5分の一人芝居を創作して演じるものだった。
私が選んだテーマは、ゲイのカップルの何気ない日常のヒトコマだった。
もちろん、芝居の中でゲイの話だと直感的に分る単語は使っていない。
一人芝居だから相方もいない。
なのに終演後、声を掛けて下さった観客の全員が、私の芝居がゲイのカップルの話だと
理解していた。
観客は私の拙い芝居の中でそれらしい空気と空間を読み取ったのである。
この芝居をしたことで私は事実上のカミングアウトをした形となった。
何かが変わるはず、そう思った私は少しナーバスになったが周りの人は何も変わらなか
った。
むしろ好意的に受け止めてくれる人ばかりが目立った。男性も女性も年齢に関係なく皆
が受け止めてくれた
ことが私に勇気とプライドを与えてくれた。
この経験があったから、私はこの撮影会にエントリーした。
ゲイとしての自分をさらけ出すことに、もう不安はなかった。
カミングアウトはとても難しい問題として扱われることが多い。カミングアウトの是非
をめぐって考え方の
違いも多く見受けられる。
しかしながら私は、今回の撮影会で周りがどう思うかを懸念することより、周りにどう
発信していくかの方が
大事だと思った。
つまり、自分から仕掛けていくのである。先手必勝と言ってもよい。
人に追及されて白状するようなカミングアウトは本人にとって苦痛でしかない。視点を
変え、自分から
カミングアウトしていけば自分の好むべき方法で行うことが出来るし、優位に立つこと
が出来るのではないか。
カミングアウトは自己満足という人がいる。
確かにそれは言える。しかし自分が自己満足たる「満足」を知るか否かでその人の人生
は変わる。
他人の満足は追求し得ないが、自分の満足なら追及できるのではないだろうか。
今回の撮影会に参加したのも自分の満足を求めてであった。
著名なアーティストであるレスリー・キー氏に撮影して頂けることは滅多に無いチャン
スで、このことが
きっかけとなりカミングアウトすることはまたとない機会だと思った。
この撮影会はカミングアウトを「アート」に変えるような感覚があるように思う。
氏は撮影のとき、細やかな所にも気を配っていた。私の衣装のちょっとした修正を見て
、ただの撮影会では
無いことを感じた。
撮影する一人一人がその魅力を遺憾なく発揮できるように配慮されていた。
氏に撮影して頂いたことで私は自分に自信が持てるようになっことと、一筋の光の矢が
差し込むような気がした。
撮影を迷っている方々へ。
もし迷っているのならぜひ参加して貰いたい。
撮影はあなたの人生をポジティブに変える。
そしてあなたをもっともっと輝かせることが出来る。一回きりの人生、たまにはスポッ
トライトが当たっても
いいはずだ。
私は次に続くはずの皆さんを心から応援しています。
次はあなたの番です。