OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
main-image

Gengoroh Tagame

田亀 源五郎

51歳
マンガ家/ゲイ・エロティック・アーティスト
神奈川県出身
ゲイ

#001 2015年3月撮影

私にとっての重要なカムアウトは、1982年、高校の卒業式の日、三年間片思いしていた親友に、これが最後の機会だと思い切って「好きだ」と告白したこと。すごく怖かったけど、カムアウトした後はすごくスッキリした。そして改めて、なぜそんなに怖かったのか、自分で考えてみたところ、彼にカムアウトすることで、それまで彼との間に築いてきた友情を失うのが怖かったからだと判った。そして、最初から自分がゲイだというのを隠さないでいれば、そんなことを不安に思うこともなかったろうにとも思った。

以来私は、自分がゲイだというのを隠さないことに決めた。高校三年間の、好きな人に告白できなかった苦しみはもうゴメンだし、最初からゲイだと公言しておけば、ゲイだからといって人間関係に支障が出るような、ホモフォビック(当時はこんな言葉は知らなかったけど)な人は寄ってこないだろうしね。

というわけで大学でも会社でも、まだ互いに良く知らない人から「彼女いるの?」と聞かれれば、「いない。でも私はゲイだから、彼女じゃなくて彼氏が欲しい」と答え、好きな異性のタイプなんて話題になったときは、「毛深くてヒゲのマッチョがタイプ」と答え、相手がビックリしたところで、「あ、私ゲイだから」とフォロー。入社早々にこれをやったときは、それを聞いた上司が椅子一つ飛び退いたし(笑)、翌日出社したら早くもフロア中にその話が広まっていたけど(笑)、まぁ物珍しがられることはあっても(80年代半ばだったからねぇ)、そのせいで嫌な目にあったことはない。

こんな具合に、私にとってのカムアウトとは、自分のセクシュアリティを「隠さない」ということ。それも進学や就職など、人間関係が刷新される機会が狙い目。ちょっとした勇気は必要だけれど、その結果、些細な嘘をつかずにすむストレスフリーな日々と、ゲイフレンドリーな友人ができますよ。