OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
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Satoko Akimoto

秋本 紗戸子

62歳
無職
東京都出身
MtF

#001 2015年3月撮影

GIDの方はだれも同じだと思いますが最初に「性同一性障害」ということがあると知った時に、絶対不可能なことが実現できるかもしれない世の中になったと。いや、完全にできなくてもいままでのように隠れなくてもいいのだと。

でも世の中の変化だけで実際の生活が変えられるのだろうか。いや、私個人が一人一人に認めてもらわなければだめだとも思ったんですよね。でもどう切り出せばいいのか、いや、そもそも何を言ったらいいのか。

性別を変えたいので私を女性と認めて欲しいこと?そんなこと考えたこともない人にいきなり言っても通じないだろう、そうではなくて、変えるとなにが良いのか。さらに変えるとなにができるのか。
聞く人に共感を得られることが話せないとだめではないかと考えた。

物心ついてから今まで、ばれてしまうのではないかと頭に浮かんだことを男性ならこう言うはずと言い換えてたが、カミングアウトした後は、これ以上なにも隠す必要がなくなって頭に浮かんだことがその瞬間に言葉にできるようになった。初めて体験する「言葉を発する容易さ、楽さ」。自分に正直になることで、こんなに制約がなく、おもいっきり力がだせそうになる、強くなれるんだと、、、

聞いてもらった人の一人が、「それは普通の自分でも同じだ、仕事の中でこうあらなければだめだとか、こうあるべきと自分に強いてきたが自分が本当にやりたいことをやることが一番、力が発揮出来るのだとおもう」と言ってくれた。

カミングアウトしてよかったと思った瞬間でした。

それまでの生活を変える事なく、同じ仕事をする。
ほんとに恵まれているし。実現できたのは全て周りの人達のおかげです。

しかしトランスして望む性別に近づけば近づくほど心情的にはカミングアウトしたくなくなります。
ただ普通に生きていたいだけ、そのために普通ではないことをするという矛盾。
でも誰かがやらなくてはだめなら、
これからもカミングアウトという言葉が必要なくなるときを目指して、カミングアウトし続けようと思います。