Gon Matsunaka
松中 権
38歳 |
認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表/広告会社 |
石川県出身 |
ゲイ |
#001 2015年3月撮影
家族や親戚へのカミングアウトがいちばん大変と、ずっと思っていました。両親にはじめて語ったのも、つい数年前です。
「ゴンがゴンらしくいて、幸せだったらいいんじゃない?」
予想したものとは全く違う、とてもやさしく、あたたかい一言がかえってきました。兄も弟も親戚も、みんな同じように、そのまんまの僕を受け止めてくれました。
本当にたくさんの人に支えられ愛情をもらって生きているんだと、心から感謝の気持ちが溢れてきました。僕にとっては、勇気を出してカミングアウトできた!というより、カミングアウトさせてもらった、というほうが近いのかなと思っています。
「本当はどう思ってる?こんな僕が家族や親戚にいるって」
と聞くと、
「よっちゃんがいるから、『みんなと違う人』がいて当たり前なのかもね」
ということでした。
よっちゃんとは、65歳の僕の叔父さん(母の弟)。子どもの頃から発達障害をもっていて、今は施設で簡単な仕事をしながら暮らしています。母たちが小さい頃は、近所でもいろんな差別を受けてきたことでしょう。
でも、そんなよっちゃんが居てくれたから、僕の穏やかなカミングアウトがあったわけです。もしかしたらゲイである自分の存在も、考え方を変えれば、マイノリティとして苦しんでいる隣の誰かの役に立つこともあるかもしれない、そう思えた瞬間でした。
カミングアウトは、ひとりひとりの暮らす環境によって違うもの。やり方もそれぞれでいい、カミングアウトしない選択があってもいい。でも、社会が少しずつ変わることで、ひとりひとりが暮らす環境も、カミングアウトして生きる道を選びたくなるものへ、選びやすいものへと変わっていくとも思います。
新しい人生は、いつでもスタートできると信じています。
誰かが勇気と誇りをもって踏み出した一歩を、誰かの一歩とやさしくつなぎ合わせて、つぎの誰かが自分のタイミングやリズムで歩き出すための、大きなエールに変えていく。そんなムーブメントをいっしょにつくっていけたらいいな、それを通じて、大切な人たち、そしてよっちゃんに恩返しをできたらいいな、と思っています。