MAKOTO KOBAYASHI
小林 誠 (左)
52歳 |
小学校教諭 |
佐賀県出身 |
ゲイ |
#017 2019年4月撮影
カミングアウトとは、自分らしく存在するための手段だと思う。
カミングアウトを必要としなかった少年時代、自分らしくなんて考える必要もなかった。目立ちたがり屋な自分、お調子者の自分、様々な自分が当たり前のように表現できていた。
青年期に入り、自分がゲイであると気付くと、途端に自分らしくいられなくなった。ゲイバレしないように細心の注意を払い、自分を偽り続けた。好きな女性タレントを準備し、好きな女性像を創りだし、男性に惹かれる自分を封印した。
こんな生き苦しさから解放してくれたのは、ゲイ仲間であり、そして、パートナーである。ゲイ仲間には孤独感から救ってもらい、パートナーからはカミングアウトしてオープンに生きる幸せを教えてもらった。
教職25年目にしてようやく職場にカミングアウトをして働き始め、性的マイノリティの子どもたちが、安心して過ごせる学校環境を整える取り組みを始めたところである。職場へのカミングアウトと同時に、人生最大のカミングアウト、結婚式の準備に取り掛かった。職場の仲間や親戚一同に集まってもらい、ありのままの幸せな姿を見てもらった。
今からの時代を担う子どもたちには、私たちが経験してきた苦しい思いをさせたくはない。すべての子どもたちが自分らしくいられるように、また、性的マイノリティであっても幸せになれるんだということを証明するために、カミングアウトを続けていく。
SHIGEKI MIZUNO
水野 重喜 (右)
35歳 |
接客業 |
佐賀県出身 |
パンセクシャル |
#017 2019年4月撮影
自分が同性を好きかもしれない、ゲイかもしれないと思った学生時代、カミングアウトも一緒に悩みの一つになったのを覚えています。
思春期という事もあり、性的趣向と自らが捉えていたのも、カミングアウトをハードルの高い、自らの性的な晒しと思っていました。
カミングアウトという言葉を調べれば、
いつも出てくるのは「自己満足」「相手に悩みを与えるだけ」
と書かれていて、それも自分の口を塞ぐには十分な言葉でした。
悩み始めてから数年が経ち、様々な人と恋愛をしていく中で、
性的な好きから人としての好きに変わり、
性的趣向から性的指向に変化してゲイからパンセクシャルに。
カミングアウトが自分という人間を知ってもらう一つの話なだけに変化しました。
左手の薬指に指輪をしているからだと思うが、職場では
「子供は居るの?」
と自分を知らない人からよく聞かれる。
「子供は居ません、結婚式もあげただけです。」
と答えた後、
「騙されてる気がする。」
と言われるのでそこからカミングアウトをするようにしてます。
だって、「騙したい。」なんて気持ちは一つもないから。
あなたのカミングアウトはきっと閉鎖的でネガティブなものじゃなく、その人との距離と少しだけ縮めることができる魔法の言葉。
カミングアウトしなくても、した後でも、
今までのあなたがあなたである事は何も変わらない。
カミングアウトなんて言葉は古臭くて、自己紹介位に軽い言葉で済ませられる日が1日でもいい早く訪れるように。