OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
main-image

NAHOKO YOKOI

横井 菜穂子

31歳
公務員
大阪府出身
FTX・パンセクシュアル

#017 2019年4月撮影

社会が私を「女」として扱おうが、私自身は「女」として生きる必要はない。

女の鋳型が窮屈で、だからと言って、男になりたい訳じゃない。一体どうすりゃいいの?と、学問に答えを求めた20代。

東大にジェンダー論で有名な教授がいると聞けば、ゼミに潜りに行き、自分の問を解こうとした。卒業後は、海外の大学院でもジェンダーやセクシュアリティを学んだ。

ある日、留学先のスペインで、アルベルトという友人ができた。アルベルトは、性別に囚われていない人で、私に対しても「女」を求めてこない。この人がくれた言葉で、忘れられない一言がある。

「誰かに「ゲイなの?」と聞かれても、答えに困る。だって、自分の性別は男でも女でもないし、相手のことも、性別で区切って好きになる訳じゃないから。性別なんて、身体のパーツで社会が一方的に区分けしたものでしょう。

性別だけでなく、人種だって同じだよ。私が白人で、あなたがアジア人なんて、社会が作った区分けに過ぎず、例えば昆虫から見たら、人間の違いなんて見出せないもの。」

この言葉で、私は、長年闘ってきた「女」から降りることができた。

社会が私を「女」として扱おうが、私自身は「女」として生きる必要はない。

そして、目の前の他者に対しても、その人の心や身体や戸籍が「男か女か」なんて、判断する必要はない。

アルベルトと出会うまでの27年間は、女という鋳型に自分をはめながら、男という性自認の人を選んでお付き合いしてきたし、女の友人でどれだけ好きな人がいても、親友以上になってはいけないと思っていた。

これからの人生で深い関係を結ぶ人は、

男でも女でも、そのどちらでもなくても、その両方であっても、兎に角どうだっていい。

性別よりも、大事にしたいことがたくさんあるから。

私の心と人生を、より自由で豊かにしてくれたアルベルトに、日本から愛をこめて。

Cariño, muchísimas gracias!