OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
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SAYURI KOJIMA

小嶋 小百合

65歳
自営業(会社役員)
愛知県出身
MTF

#017 2019年4月撮影

今年、高齢者の仲間入りをいたしました。
私が性別に違和感をはっきりと自覚したのは還暦も間近になってから。
若いころにはMtFなんて言葉はおろか、性同一性障害やセクシュアルマイノリティなんて言葉もなく、性別といえば男か女のどちらかしかありませんでした。男の子として生まれた私は周りの男の子たちになんとなくなじめないまま、それでも男としてちゃんと生きていかなくちゃ、と言い聞かせて生きてきました。
性同一性障害という言葉が使われ始めたのは1980年のDSM第3版からと言われていますが、そんな知識のなかった私はその後も男性の社会人として長い間生活してきました。
私が性別には男性と女性以外にもいろいろあるということを知り始めたのは2011年から2012年にかけてです。2012年には名古屋で初めてのプライドパレード「第1回虹色どまんなかパレード」が開催され、私は男性の格好のままパレードに参加しました。もう58歳になっていました。
そして、初めて化粧をしたのが、翌年の「第2回虹色どまんなかパレード」の時です。
その3年後、62歳になって初めてクリニックの門を叩き、ホルモン治療を始めたのです。
その翌年には職場でも私生活でも周りすべてにカミングアウトし、一日中女性として生活するようになり、現在に至ります。
そして今年、体にメスを入れることを決意しました。高齢者になってからの手術です。
その歳になってなぜ今さら? と思われるかも分かりませんが、私は女性として生活している今の自分がとても好きです。
「もっと女性らしくなりたい、トランスジェンダーとしてではなく、女性として生活したい。」たぶん、死ぬまでそう思って生きていくでしょう。
今もし、踏み切れずにいる中高年のトランスジェンダーの方がいたら、「今からでもいいから、残りの人生を楽しく、自分に正直に生きていきましょう」と声を掛けてあげたいです。