OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
main-image

SEIJI AYASE

綾瀬 静之

27歳
会社員
奈良県出身
FTM

#017 2019年4月撮影

私が親にカミングアウトしたのは19歳、大学1年の終わりの頃でした。
私は4人兄弟の末っ子で、やっと生まれた女の子なので大いに可愛がられ、女の子としての将来も期待をされていました。大学に入学した時、これが期待に応える最後のチャンスだと思い、髪を伸ばして、化粧も頑張りました。それでも、好きになった人がまた女性だと確信した時は、「もぅ、無理だ」と病院に通い始めました。
未成年が男性化するためにホルモン治療を受けるには、親の同意書が必要でした。私のカミングアウトのきっかけは、治療の同意書にサインをもらうためでした。
結果は、認められませんでした。母は泣きじゃくり、父には「お前の言っていることは永久に理解できん!」とちゃぶ台をひっくり返す勢いで怒られました。あとにも先にも父にあんなに大声を出されたことはありません。
それから3年の時間をかけて受け入れてもらいました。
カミングアウトした時は、自分の受け入れて欲しいという気持ちだけ押し付けていましたが、カミングアウトされた側は受け入れるまでの時間が必要でした。そして、受け入れられない期間は、私にとって自分をもう一度見つめ直す良い時間でした。
カミングアウトがゴールではなく、カミングアウトしてからがスタート。ゆっくり進めばいいのだと思います。