SOU ITOH
伊藤 壮
40歳 |
Webエンジニア |
奈良県出身 |
ゲイ |
#017 2019年4月撮影
「気になる女性はいないの?」
あぁ、きたきたこの質問。
悪気も邪気もない、たわいもない会話の中で。
この質問がきたら、いつもこう答えることにしている。
「えっ、そんな女性はいませんよ。僕ゲイなんで。」
もちろんこの答えに悪気も邪気もない。
息をするように自然のまま応じただけ。
自身の性的指向など、大きな声で言わなくてもいいことだ。
だが、社会生活を営む中では、嘘で塗り固めた私を見せる時がふいにやってくる。
うーん、なんだか面倒になってきた。言わなくてもいいけど、言ってもいいよね。このご時世、こんなことで誰も不幸にならないし。
上辺を整えているのが面倒になって急に吹っ切れた。
「僕ゲイなんで。」
「ふーん、そうなんだ。」
初めて言った相手は驚きもせず、いつも通りだった。
これまで数人に告げてきたが、皆いつも通りだった。
なんだ、簡単なことだった。
大量の情報が瞬時に取得できるこの時代、LGBTに対する意識も多方面から浸透しているように感じる。
まだまだ偏見はあれど、それはゼロにはならないかもしれないけど、発信することによって変えられることもある。
さて、これから何を伝えようか。
私を変えるのは、私。
あなたを変えるのは、あなた。
世界を変えるのは・・・、私? あなた?
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しかし、カミングアウトしたら世界が変わるかも、と大げさに考えていたが、とくに何も起こらず日常を過ごしている。
私の中で変わったことといえば、肩こりが減ったことくらいか。
今日はご飯が美味しい気がする。