LGBTの存在は、とかく可視化がむずかしいものだと思います。しかし、見えないからといって、存在しないわけではない。

そう気付いたのは、今から10年前、はじめてカミングアウトをした日でした。

生まれてはじめて自分のことを打ち明けた相手は、大学の先輩でした。先輩に恐る恐る相談したところ、その先輩自身もゲイであると告白。自分と同じセクシュアリティの人が、こんなに身近にいたのかと驚いたことを、今でもよく覚えています。

「自分はひとりじゃない」

そう強く感じることが出来た瞬間でした。

当時、自分のセクシュアリティを否定的に捉えていた自分にとって、先輩の存在はとても大きく、そしてとても心強いものでした。

今でも時々ふと思い出します。10年前のあの日があったから、今の僕がいるんだなぁと。そして、いつか僕自身もあの先輩みたいな存在になれたらいいなとも。

今回、このカミングアウト・フォト・プロジェクトに参加させてもらえたことに、心から感謝しています。あの日、先輩から受け取ったバトンを、次の誰かに渡す機会を頂いたのだと。

「自分はひとりじゃない」

この企画を目にした誰かが、そのことに気づくきっかけになれば幸いです。