JUNKO MITSUHASHI
三橋 順子
60歳 |
大学講師・研究者 |
埼玉県出身 |
Trans-woman |
#009 2016年4月撮影
カミングアウトということ、正直言うと、あまり意識していませんでした。なぜなら、私は「歩くカミングアウト」で、Trans-womanであることは「見ればわかるでしょう」だから。その上で、私をどう認識するかは相手にお任せしています。もちろん、女性として認識してくれれば、うれしいですけど。
カミングアウトしようが、しまいが、要はその人が、自分の「性」の在り様を自己肯定して、プライドをもって世の中に向き合っていくことが大事なわけです。そして、それを世の中の人たちが承認する社会が望まれるのです。
20世紀に性的少数者であることに気づいた私たちの世代は、それぞれの立場、それぞれの方法で、たとえ主張に違いはあっても、みんな身体を張って、「性」の多様性が尊重される社会を目指してきました。
ただ、それはまだ道半ばです。そうした社会の実現は、21世紀の日本社会の中核を担う若い世代に委ねなければなりません。
今回の撮影で、私は999番でしたが、1000番は私の娘の世代の「お嬢さん」でした。彼女に記念の花束を渡す役を務めたことは、「性」の多様性を求める松明(たいまつ)が世代を越えて受け継がれていくことを象徴していて、とてもうれしいことでした。
私も、残りの人生、日本におけるトランスジェンダー・スタディーズの構築という天から与えられた自分の仕事を、力が続く限り、果たしていきたいと思います。