NANA TAIRA
平 奈菜
23歳 |
公務員 |
岩手県出身 |
バイセクシュアル |
#009 2016年4月撮影
初めてカミングアウトした相手は、普段から良き相談相手だった年上の友達でした。
12歳のとき女性に初恋をしてから10年間、自分を偽る日々を送ってきましたが、とうとう心を隠して生活する苦しみに耐えることができなくなり、半ば気が動転したまま泣きながら話してしまいました。
それを聞いた友達は、「いいじゃん!」と短くも力強い肯定の言葉をくれました。
恐怖で身構えていた私は、拒否されなかったことに安堵こそしたものの、理解されたとは思えませんでした。
友達はその後も何度も話を聞いてくれ、LGBTの交流会にアライとして一緒に参加したり、本を読んで用語や概念を学ぼうとしてくれました。
そんな友達の行動が私に勇気を与え、家族や親しい友人にもカミングアウトしたいという意思が芽生えました。
そして家族や友達が、本当の私を受け入れてくれた経験が積み重なり、「ありのままが良いんだ」という自分を肯定する考え方に繋がったのです。
何をしてもつまらなかった世界が色づいた瞬間でした。
地方は新しい概念を受け入れにくいことを、痛いほど肌で感じて育ってきました。
カミングアウトのリスクや心理的負担は計り知れないものがあると思います。
しかし、今まで隠すことに必死だったのは非難を恐れていただけでなく、自分を受け入れるプロセスで長い間躓いていたからだと実感しました。
「私は間違っている。早く性的指向を改めなければ。」と普通になれない劣等感から自分を責め続け、自尊心を大きく傷つけてしまいました。
人と違う道を歩くことは辛く悲しいことで幸せとは程遠いものだと思っていましたが、クローゼットから出てLGBTの友達や信頼できるアライに出会えたことで、我慢ばかりして生きる方が寂しいことなのだと気が付くことができました。
この写真は、限られた時間を満足いくように生を謳歌し、胸を張って明るく生きていくための誓いです。
そして、誰かの勇気のきっかけになれたら嬉しいなと思います。