SOU FURUMACHI
古町 奏
35歳 |
会社員 |
東京都出身 |
FTM |
#009 2016年4月撮影
僕にとってのカミングアウトは、
自分でいることそのものです。
僕は、身体が女性として生まれたため、
当たり前ですが、
女性として育てられ、女性として扱われてきました。
服も靴も髪型も、言葉遣いも、
場合によってはやりたいことも、
自分がやりたい、ほしい、と思うものに対して、
君は違うよ、と言われてきました。
なんだか生きづらい。
でもなぜこんなに生きづらいのか、
絶望的な気持ちになるのか、その原因が分かりませんでした。
自分が変なんだ。
女性らしく生きれば、誰にも迷惑をかけないし、
もう誰からも変な目で見られない、否定されない…
そう思うようになっていきました。
何とか人に合わせ、人と同じようにふるまい、
「ふつう」に溶け込もうと精一杯でした。
何も望まずに、別の自分として生きる。
疲れ果てて、人生を諦めようと思ったことは、数え切れません。
自分のままで生きればいい、と知ったのは、27歳のころ。
希望が見えました。
無理をしないで、ただ自分として生きたい。
誰かと比べる必要はなにもない
誰かの評価の中で生きる必要もない
自分として生きることは、
カミングアウトの始まり。
今まで向き合ってこなかったことに、正面から向き合い、楽になるどころか、新たな悩みもたくさん生まれましたが、
時間をかけて、一歩一歩、
楽になり、幸せを感じられるようになりました。
自分がトランスジェンダーとして産まれたから気づけたことがたくさんあります。たくさんの方に支えられ、たくさんの愛情をいただいき今の自分があります。
なんでこんな面倒な人生なんだ、と思ったこともたくさんありますが、誰もが人生の課題を背負っていて、みんなそれを乗り越えて生きている。人が自分の痛みを分からないのと同じで、自分も人の痛みが分からない。僕には感じえない痛みを抱えている誰かがいて、でも表面にそれは見えないことの方が多い。だからこそ目の前の相手を大切にしたい。
どんな境遇であろうとも、どんな人も笑って泣いて、また笑って生きていけるように願いながら、
今度は自分が誰かを支えることができるように、1日1日を生きていきたいと思います。
Out In Japan この素敵なプロジェクトに関わるすべての方に、感謝を込めて。