OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
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AKIRA HIURA

樋浦 瞳

22歳
ダンサー/学生
新潟県出身
FTM

#015 2018年5月撮影

ずっとこのまま生きていくんだろうなあ…
幼い頃から違和感や拒否感は抱きながらも、このまま誰にも何も言わずに死んでいくんだろうと思っていました。
なぜなら、両親にも祖父母にも兄妹にも周りからも十分に愛されていた女の子としての私は、本当に幸せだったからです。

4歳からバレエを習っていました。可愛い格好をするのはあまり好きではありませんでしたが、踊ることが大好きだったのでずっと続けてきました。大嫌いな自分から別の存在へ変身できる時間が、幸せだったのだと思います。
今ではダンサーとして、踊りで生きていこうと考えるようになりました。

私が性転換・カミングアウトを考え始めたのは、高校3年生の秋でした。
地元から離れた大学へ進学することが決まっていたことは、このタイミングにしようと決意した大きな理由かもしれません。

1番最初に打ち明けたのは、絶大な信頼を置いていた高校の先生でした。
相談したいことがある、と言った後に言葉を出そうにも涙しか出てこない時間を、先生はじっと待っていてくれました。
そして伝えた後には「いいんじゃないですか、べつに」と軽~い感じで笑いながら返してきました。
私にとっては大きな一歩だと思っていたことも、世界にとってはなんでもないこと、そう思ったら救われた気がしました。

両親には手紙を書きました。
どんな風に書いたかは、あまり思い出せませんが「私は今まで本当に幸せだった」と書いたのは覚えています。

もし同じような境遇で歩み出せずに迷っている人がいたら、その方に伝えたいのは、大切な人たちに対して本当の自分で真摯に向き合えるのは、とても清々しくて気持ちのいいものだということです。生きるのが、ぐっと楽になりました。

胸を張って生きることが、今までお世話になった人たちへの恩返しのひとつになると思って、今日も私は踊りに向き合っています。