OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
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KOICHIRO HOSHI

星 公一郎 (左)

52歳
会社員
東京都出身
ゲイ

#015 2018年5月撮影

俺はかつて、ゲイとして活動する時の顔と一般市民として生活する顔を使い分ける二重生活を送っていた。男同士の性的接触と快楽を地元から遠く離れた場所で楽しくやっていればいい。生活する場面にまでゲイ生活を持ち込んで生きにくくなるならカミングアウトなんてするもんじゃない。カミングアウトしたって「変わり者」のレッテルを貼られるだけで、いいことなんて何もない。そう考えていた。しかし、俺は竜也と出会ってしまった。俺の唯一無二のパートナーだ。このパートナーと、パートナーとの絆を大切にしたい。それが俺のカミングアウトのきっかけだった。大切な人と幸せな家庭を築きたい。生きにくくなってもいい。「変わり者」のレッテルを貼られてもいい。社会的信用も全てなくし、世間から爪弾きになってもいい。だけど、竜也と、竜也との絆だけは守りたい。俺はまず、親と職場の上司や同僚数人、市役所職員にカミングアウトをした。親は決して認めたとは口に出しては言わないが、理解している様だが、職場の人数人を除いては理解してもらうには至らなかった。だけど、俺は思う。カミングアウトをすることは相手に理解してもらうことではない。カミングアウトという大きな壁を勇気を出していかに乗り越えていくか、あるいはぶち破るかだと思う。今回の撮影も自分のカミングアウトに対する本気度を確かめたかったからだ。昨今のカミングアウトブームで社会がLGBTを少しずつ受け入れ始めていることは大変喜ばしいことではあるが、他人の行動で認められることは俺の本意ではない。俺は俺の行動を以て俺がゲイであることを認めてもらいたい。俺と竜也、そして竜也との絆を認めてもらいたい。それだけでいい。俺はこのたった二つの思いだけで申し込んだ。

RYUYA HOSHI

星 竜也 (右)

32歳
介護職
新潟県出身
ゲイ

#015 2018年5月撮影

2017年6月、彼と僕は養子縁組で籍を共にしました。日々、ささいな言い合いが絶えない二人ですが、彼とでなければ籍を共にはしなかったと思います。それは、出会って間もない頃から、彼と僕は「家族」になりたいという思いを、ぶつかりながらも、何度も崩れそうになりながらも、積み重ねてこれたからだと思うからです。

お互いの親へカミングアウトをする前、彼と彼のお父さんと三人で暮らし始めてひと月くらい経った頃、彼のお父さんから「二人の関係がホモなら出てってほしい」と唐突に言われたときは、ほんとうに目の前が真っ白になりました。けれど、その出来事があってからも1年以上一緒に暮らして、次第にお父さんも彼と僕の関係を受け入れてくれたのだと思います。今では彼がいないときにはお父さんと二人でご飯を食べながら、他愛ない話をするようになりました。

僕の母親に「養子縁組をする本当の理由は、今の日本では彼と結婚できないからなんだよ」と伝えたときは、「お母さん難しいことはわからないけど、あなたが選んだことなら反対する理由はない応援する」と返事がありました。カミングアウトをしたら親が精神的にまいってしまうのではと心配していましたが、ゲイであることは関係なく、親として息子を信じているし、息子の幸せを願ってくれているのだということをあらためて感じました。

声高らかに権利を主張したいのではなく、普通に生きていく。ただ自分らしく、自分の好きな人と共に生きていく。「あなたも私も全然違うし、いろいろあるけれど、あなたも私も素敵だよね」と、それぞれの生き方や価値観を尊重し合える日常を、誰もが送れる。そんな日常をつくっていくのは、あなただし、僕たち一人一人なんだと思います。地に足をつけて、自分らしく。