OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
main-image

YOSHITAKA KISHIMOTO

岸本 啓孝

39歳
俳優
三重県出身
ゲイ

#015 2018年5月撮影

正直、カミングアウトしたからといってしあわせになれているとは思いません。苦労しても金は儲からないし、自分が愛したのと同じくらい誰かに愛されたためしも、さみしいことに今まで一度もありません(笑)。ただ僕には、自分の感受性をまもるために、カミングアウトが必要でした。
二十代後半、ゲイであることを隠しながらだと科白が云えなくなってしまいました。役者の道を選んだ以上、これは致命的。そこで、事務所のマネージャーにカミングアウトしました。反応は「アンタ! いつ云うかと思ってたわよ」。このマネージャーに厄介になってもう15年。また、このカミングアウトの後すぐ、日本でも数少ないゲイの劇団「フライングステージ」に入って10年。今ではなんとか科白もしゃべることができるようになりました。これからもゲイであることにこだわって芝居をつづけるつもりです。なぜならそれはとてもたのしいし、そこに、自分にしかできない何かがあるはずだから。
いま、このメッセージを読んでくれているあなたは、カミングアウトについて、きっとなんらかの思いがあるのでしょう。する必要のない人も、しないと決めた人も、これからの人も、もうした人も。するかしないかは、あなたと、あなたのまわりと、タイミング次第。してもしなくても、しあわせになれるかは、自分次第。でも、僕たちは、もっとしあわせになってもいいし、もっと自分をゆるして生きていっても、いいはずなのです。大丈夫、僕のこの写真を見てくれたあなたが、少しでもたのしい、あなたらしい日々を生きられるよう、祈っていますから。
……愛をこめて