OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
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SHIZURU FUJISAWA

藤沢 静流

27歳
会社員
千葉県出身
MTF

#015 2018年5月撮影

私は自分の人生を「かわいそう」だとか「悲しい」だとか思わない。
いや、思いたくないのかもしれない。
そうでも思わなけりゃ、ここまで生きてこられなかったから。
むしろ私が持つセクシャリティのおかげで、かけがえのない方々と出会うことができ、貴重な経験をすることができた。
これは胸を張って自慢できる私の宝物だ。
市井に生きるMTFにとって、今の世の中はまだまだ生きづらい。
私のように企業に身を置く場合には、カミングアウトさえままならない。
ロールモデルとなる先輩や理解者が少ない中、手探りで毎日を過ごしている。
いわば道なき道を進んでいるようなものだ。
だが、これは私が選んだ道。
そしてそれを応援してくれる心強いMTFの仲間たちがいる。
オフィスの中では一人だが、決して自分は一人じゃないんだといつも勇気づけてくれる。
そんな仲間たちに心から感謝している。
私が歩くこの道を、同じ境遇の方々が踏み固め、やがて砂利道となり、そして地図に描かれるような舗装された道になれば、私にとってこの上ない幸せだ。
それが何年、何十年、何百年後になるかは分からないが、私が歩む人生によって、世の中が1ミクロンでも動くのであれば、私は喜んで捨て石にでもなる。
自分の遺伝子を残せない私には、それこそが自分の生きた証になると信じているから。
そして明日もまた一歩、私は歩んでいく。
ちっぽけな私だけれども、ほんの少しでも前に進むことがきっと未来へとつながるはず。
カミングアウトなんて仰々しい言葉さえない、誰もが自分らしく生きられる世の中になることを夢見て…。