OUT IN JAPAN

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。
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CHIHIRO ITO

伊藤 千紘

28歳
会社員
京都府出身
バイセクシュアル

#015 2018年5月撮影

小学生の頃、とても大切な女友だちがいた。
彼女にとって特別な存在になりたくて、いつも近くにいた。
その様子を見ていたクラスメイトのひとりから「それってレズって言うんだよ、気持ち悪い」と言い放たれた。
あれがおそらく、私が性的に決して多数派ではないことを自認した、はじめのきっかけだった。
思春期の頃、何の疑問もなく異性愛を前提とした「恋バナ」にのめり込める同級生たちに、どうしても馴染めなかった。自分は普通の女の子じゃないのだ、と思った。
男性に恋をしたこともあった。…本当は「普通」なのでは?同性愛って、両性愛って何だ?自分は恋愛に何を望んでいるのだ?性愛って、恋愛って何だ?そんなことを随分考えた。
私にとって性はいつも、厄介で難解で面倒くさく、けれど私を執着させてやまない、私の人生にとって重い存在感を放っているものだった。
今では、少しだけ分かる。
異性愛者、同性愛者、両性愛者、LGBT…
私たちの性のありようを説明する言葉は無限にある。
大切なことは、1人ひとりが「自分はこうだ」と言える、しっくりと納得ができる自らの性の定義を見つけること。自分が正解だと思ったこと、それが唯一無二の答えだ。
社会から押し付けられた「らしさ」に自分を当てはめるのではなく、自分の言葉で自分の性を語れるようになろう。そうして、自分自身の性のあり方を肯定してあげること。
それが、私にとってのカミングアウトだ。
バイセクシュアルである私。
性暴力サバイバーである私。
自分の心と身体、自分の性を大切に、人と信頼し合える関係を築いてゆくことは、私にはまだまだ難しい。
けれど、性とは本来、私たち一人ひとりのありのままの姿を尊重し、慈しみ、愛し合って生きてゆくための、幸せのツールであると信じていたい。
私はいつか、自分の性と生を誇り、大切な人と互いの性を肯定し愛し合いながら、たったひとつの私の人生を歩いてみたい。
今日がそのための第一歩になるように。
OUT IN JAPANのカメラの前に立てた自分を祝福したい。